商社流 接待の極意
元商社マンで現在IT業界に身を置くヤマオです。
今回は僕が商社時代に経験した接待について、お話します。
真の接待とは?
スゴい接待 その1:屋形船
スゴい接待 その2:2次会
私が数々の先輩たちに習ったのは、「接待は2次会でいかに楽しませられるかが勝負」ということです。
18時とか18時30分とか少し早めの時間に取引先を呼び出し、美味しい飲食店で食事をし、その後2次会で楽しい思いをしてもらうというのが王道コースになります。(その後3次会でラーメンという場合もしばしば。)
2次会で最も多いのが、キャバクラ、ガールズバー、スナックなど、女性が横についてくれてお酒をついでくれたり、歌を歌うパターンですが、このパターンでは横についた女性と話すことに夢中になり、取引先との距離がいまいち縮まらない場合もしばしば。
女性のいる店が大好きという取引先であればこれでいいのですが、もっと仲良くなれるのはアクティビティ系の2次会です。
具体的には一緒にショーを見るショーパブ系と一緒にスポーツをするスポーツ系があります。
ショーパブ系ですと、モノマネ、ポールダンス、オカマ、ジャズ・バーなど、笑いや感動に溢れるお店が六本木、麻布十番、銀座、新宿エリアに沢山あります。
またスポーツ系ですと、サルサダンスバー、卓球バー、ダーツバー、ボウリング、シミュレーションゴルフなどがあります。
このようなアクティビティ系2次会を想定をして、1次会の飲食店のエリアを決めるのが王道です。
接待の2次会で使う店を調べるために、事前に友達と下見をしたりするのも楽しい思い出となります。
スゴい接待 その3:ゴルフ
接待は平日夜の仕事終わりが基本になりますが、日本のサラリーマンに欠かせないのは週末のゴルフ接待です。
大自然の中で家庭と仕事のストレスから離れ、
「ナイスショット!」
と言われれば、気を悪くする人はいません。
ゴルフ接待については、コースを回るのはもちろん、場所と景品が重要になります。
私の場合、熱海でゴルフをやり、そのまま温泉に入って宴会。
バンコクで若い女性キャディを指名して一緒にラウンドを周る。
といった楽しいシチュエーションも経験しました。
また、本当に取りたい案件の前に取引先と接待ゴルフをするときには、景品に海外旅行は国内高級リゾート宿泊券をつけたこともありました。
はじめは20代中頃の若造商社マンがこんな経験をしていいのかと思いつつも、段々それが当たり前になっていったというのが正直なところです。
取引先の本音、真のニーズを聞き出しそれをもとにビッグビジネスを手に入れる商社マンたちの接待術は、おもてなしの心にあふれていて、日本の総合商社が強い理由がここにあります。
私が経験した数々の接待は商社マンを卒業した今でも一生の思い出に残るものとなっています。
ヤマオ
商社の根回し仕事術(取引先編)
こんにちは。商社出身ITコンサルタントのヤマオです。
今回は商社流根回しの極意(取引先編)というタイトルで、自身の経験を記します。
取引先との関係を築くのに最も大切なこと
私は大学卒業後、国内の大手商社に勤務をし、エネルギー関連の部署で、石炭・天然ガス・LNGなどの燃料を海外サプライヤーや自社の投資プロジェクトから仕入れ、国内の電力会社や発電所を持つ大手メーカーに供給する仕事をしていました。
そのため、私の仕事の中で最も注力していたことの一つは、取引先である電力会社やメーカーのキーマンと関係構築をすること。
そして、そのために最も大切だったのは、取引先の社内決裁がスムーズに進むためのサポートをすることでした。
今回は日本の大企業に勤めるサラリーマンの誰もが苦労をする社内決裁にフォーカスしてみたいと思います。
大企業の社内決裁と傘連判状
大企業同士の取引の場合、契約規模が大きくなればなるほど、社内決裁の手続きが煩雑になります。
そのため担当者が『自社にメリットがあるから取引をするべきだ』と思っていても、そこから課長、部長、法務部門、経理部門、担当役員、金額によっては社長まで社内で承認をもらう行為が発生し、非常に面倒であるため、仕事を後回しにしたり、ひどい場合は自社のためになる取引であっても社内決裁が面倒なので取引をやめてしまうケースもあるのです。
私も大手商社の若手社員の頃、1つの契約を結ぶために社内の先輩、上司、関連部署や役員、副社長から合計12名のハンコを集めたことがあります。
社内承認書に朱色のハンコが12個並んだその様子はまるで江戸時代の一揆で用いられた傘連判状のようでした。
僕が所属していた総合商社では、特定の社員(役員)には責任を取らせず、社内承認書にハンコを押した全員の責任にしようという風土があり、みんなでハンコを押すのは意思決定が間違っていた際のリスクを軽減するための風習なのだと当時感じていました。
この方法はレベルの低い社員が暴走して、会社の損失になるような取引をするのを防ぐには非常に有効な方法である一方、総合商社には大抵優秀な人材が集まっているので、いたずらに社内決裁に時間がかかるだけの仕組みになってしまっているという実態があったのも事実です。
僕が聞く限り、他の伝統ある国内の大企業も、ほとんどが似たり寄ったりの社内決裁ルールのようで、働き盛りの若手、中堅社員はこの社内手続きで苦しみ、面倒だけど仕方ないかと思いながら、日々社内決裁や社内説明のための書類を作っているのです。
社内決裁をスムーズに進める根回し術とは?
話は戻りますが、僕は取引先から信頼されるためのポイントは、この面倒で時間のかかる社内決裁をスムーズに進められるサポートを出来るかどうかにあると考えて、常に行動に移していました。
例えばあるメーカーへLNGを販売する契約を締結する時に、メーカーの担当者はベテランだが、決裁権のある部長が新任でLNGに関してはほぼ素人であるという状況がありました。
早速このメーカー担当者を銀座で接待したところ
『ヤマオさん、個人的にはこの契約をすぐにでも前に進めたいんだけど、来たばっかりの部長が結構細かい性格でねぇ。ゼロから業界のことを教えて理解してもらうのに苦戦しそうだよ。』
との本音をポロリと漏らしていました。
このメーカーの場合、署名者である役員や社長が契約の妥当性を判断するために、契約書とともに社員が作成する和文の社内承認書を読み、そこに押された各部署の部下たちのハンコを見て関連部署のチェックが終わっていることを確認。
更に担当部長から対面での説明を受けることで、安心をしてサインを出来るという風習になっていました。
メーカー担当者は、この新任の部長が役員に契約内容や妥当性を説明するプロセスと、その前に担当者から部長にレクチャーをするプロセスが面倒であると考えていたのです。
このケースではメーカー内での社内決裁をスムーズに進めるためのポイントは、新任の部長が署名者である役員に契約の妥当性を説明する際の社内承認書作りにありましたので、僕は新任の部長に営業訪問した際に契約内容に加え、LNG業界の全体像(プレーヤーや価格決定方式等)について、自作の資料を元に説明し、ご理解いただきました。
その上でメーカー担当者には新任部長に説明した際の資料の電子データを渡し、文言や図表を加工して社内承認書に反映出来るようにしてあげました。
この私の配慮により、メーカー社内では手続きが迅速に進んだことも一因となり、数百億円規模の長期LNG契約を締結することが出来ました。
このケースのように国内大企業との取引でビッグプロジェクトを前に進めるためには、取引先企業内での社内決裁をスムーズに進めるための根回しが重要であることを学びました。
国内大企業でご活躍中の方、これからご活躍される方へ
私は今は異なるビジネス環境に身を置いていますが、現在上記の環境にいる方や、これから国内大企業での活躍を目指す方にとって、私の経験が少しでも参考になればと思い、書かせていただきました。
他の記事も楽しんでお読みいただけましたら、大変嬉しいです。ではまた。
総合商社とIT業界での経験について
はじめまして。ヤマオと申します。
私は日本生まれで小学校から高校までをアメリカのボストンで過ごした後、国内の大学を卒業。総合商社で約4年の勤務を経て、現在はIT業界で約5年働いています。
帰国子女で1年遅れて日本の大学に入ったこともあり、現在32歳です。
今年で社会人生活10年目を迎える節目の年であり、ここで社会人生活を振り返り、次の10年も最高の10年にしたいと思うようになりました。
そして私が謳歌してきたこの10年を広くいろんな方に知っていただきたいという思いから、このブログを始めることにしました。
商社時代は、エネルギー関連の部署で、石炭・天然ガス・LNGなどの燃料を海外サプライヤーや投資プロジェクトから仕入れ、国内の電力会社や発電所を持つメーカーに供給する仕事をしていました。
ここでは、新人時代から30億円〜500億円規模のプロジェクトに関わっていたのですが、とても面白かったのが、この大きなお金を動かす際に日本のエリートサラリーマンが行う社内稟議のための調整や社内政治でした。
また取引先接待の額も一晩で十万円単位で使うことも多く、上司の口癖が「10万円の接待で10億、100億の仕事をいただこうじゃないか」でしたので、いろんなスタイルの接待をし、人間ドラマを目の当たりにしてきました。
商社からIT業界にコンサルタントとして転職してからは、いわゆるエリートサラリーマンの世界から離れ、個人の技術力で勝負をしているシステムエンジニアの方たちとの交流が増えることになります。
システムエンジニアは個人個人が技術力で勝負をしている職人の世界であり、正社員、派遣社員、個人事業主など様々な立場や契約形態で活躍をしています。
エリートサラリーマンの世界とは違い、IT業界にいるエンジニアやコンサルタントは会社に縛られることを嫌う人が多く、自分の生きるスタンスを明確に持っていて、魅力的な人が多い世界です。
このような環境で過ごしてきた10年間を振り返りながら、これから本ブログを書いて行きたいと思います。
あまり、読者のことを意識しすぎず、自分の経験をざっくばらんに書いていき、10年後に振り返った時に自分で笑えちゃうような内容にするのが目標です。
私の人生ドラマの序章となる「商社マンとITコンサルタントの10年間」を肩の力を抜いてお気軽にお楽しみ下さい。
ヤマオ